はじめに

前回は、補助ボイラの点火・汽醸・燃焼管理について整理しました。
今回は、補助ボイラや排ガスエコノマイザのすす吹きと清掃装置について整理します。
ボイラでは燃料を燃焼させるため、燃焼ガスが通る部分にすすなどが付着することがあります。
特に、排ガスエコノマイザは、ディーゼル主機の排気ガスから熱を回収する装置です。
加熱管にすすが付着すると、熱が伝わりにくくなり、排ガスエコノマイザの性能が低下します。
そのため、すすを除去し、伝熱面を清浄に保つことが重要になります。

すすが付着するとどうなるか

排ガスエコノマイザでは、高温の排気ガスが加熱管の外側を流れ、管内のボイラ水を加熱します。
加熱管の表面にすすが付着すると、排気ガスの熱が水に伝わりにくくなります。
その結果、次のような問題が生じるおそれがあります。

影響内容
熱回収効率の低下排気ガスの熱を十分に回収できなくなる
排気抵抗の増加すすの堆積によってガス通路が狭くなる
排気温度への影響排ガスエコノマイザ出口の排気温度が高くなる場合がある
すす火災の危険堆積したすすなどが着火するおそれがある

特に注意したいのは、すすの堆積による火災です。
すすの中には未燃分などが含まれている場合があり、堆積したすすが高温になると、着火する危険があります。
そのため、すす吹きは、単に熱回収効率をよくするためだけでなく、安全運転のためにも必要です。

すす吹きとは

すす吹きとは、ボイラや排ガスエコノマイザの伝熱面に付着したすすを除去する作業です。
一般的には、蒸気や空気などを吹き付けて、付着したすすを取り除きます。
すす吹きを行う場合は、燃焼ガスの通路から、除去したすすを排出できるようにしておくことが重要です。
そのため、ボイラですす吹きを行うときは、通常運転時より通風圧を高くして行うことがあります。
これは、吹き飛ばしたすすが炉内や煙道内に残らないようにするためです。

排ガスエコノマイザのすす除去装置

排ガスエコノマイザのすす除去装置には、いくつかの方式があります。
試験では、蒸気噴射式以外の方法として、空気噴射式・水噴射式・鋼球散布式の3つを問われることがあります。
それぞれの仕組みを整理しておきましょう。

① 蒸気噴射式

蒸気噴射式は、蒸気を加熱管に吹き付け、その力ですすを取り除く方法です。
船舶用のボイラや排ガスエコノマイザで使用される代表的な方法の一つです。
高圧の蒸気を噴射することで、加熱管に付着したすすを吹き飛ばします。

② 空気噴射式

空気噴射式は、蒸気の代わりに圧縮空気を吹き付け、すすを取り除く方法です。
蒸気噴射式と基本的な考え方は似ています。
ただし、蒸気を使用しないため、蒸気噴射によって排ガスエコノマイザの熱回収率を直接低下させないという利点があります。

③ 水噴射式

水噴射式は、加熱管に水を吹き付け、付着したすすを取り除く方法です。
固く付着したすすに水を吹き付けると、急激な冷却によってすすの層に熱ひずみが生じます。
その結果、すすにひび割れや剥離が起こり、加熱管から取り除きやすくなります。
また、水が蒸気になるときの体積膨張も、柔らかいすすを除去する働きをします。
ただし、水噴射式は、加熱管への熱衝撃や排水処理にも注意が必要なため、装置の指定する条件・手順で行います。

④ 鋼球散布式

鋼球散布式は、水管群の上部から鋼球を落下させ、その衝撃ですすを取り除く方法です。
蒸気や空気を吹き付ける方式とは異なり、鋼球が加熱管に当たるときの衝撃を利用します。
鋼球は回収し、繰り返し使用する方式もあります。

4つの方式の違い

方式すすを除去する仕組み
蒸気噴射式蒸気を吹き付ける
空気噴射式圧縮空気を吹き付ける
水噴射式急冷によるすすの剥離や、水の蒸発時の膨張を利用する
鋼球散布式落下する鋼球の衝撃を利用する

この4つは、何を使ってすすを取り除くかで整理すると覚えやすくなります。

すす火災を防ぐためには

排ガスエコノマイザでは、すすの堆積による火災にも注意が必要です。
すす火災を防止するためには、次のような管理が重要になります。

  • 定期的にすす吹きを行い、すすの堆積を防ぐ
  • 主機の燃焼状態を良好に保ち、未燃分やすすの発生を減らす
  • 排ガスエコノマイザの排気温度や排気抵抗の変化に注意する
  • ボイラ水の循環状態を正常に保つ

特に、加熱管の内部ではボイラ水が熱を受けています。
水の循環が不十分な状態で加熱管が高温になると、管の過熱や損傷につながるおそれがあります。
すす火災が疑われる場合は、自己判断ですす吹きや水の注入を行わず、当該装置の緊急操作手順に従って対応する必要があります。

試験で押さえるポイント

今回のテーマでは、次の点を押さえておきましょう。

テーマ押さえるポイント
すすの付着熱回収効率の低下、排気抵抗の増加、すす火災の危険
すす吹き伝熱面に付着したすすを除去する
空気噴射式圧縮空気ですすを吹き飛ばす
水噴射式熱ひずみによる剥離や、水の蒸発時の膨張を利用する
鋼球散布式鋼球を落下させ、その衝撃ですすを除去する
すす火災防止定期的な清掃、良好な燃焼、排気状態の監視、正常な水循環

特に、過去問では蒸気噴射式以外の3つの方法を答える問題があります。
空気、水、鋼球の3つと、それぞれの除去原理を覚えておくとよいと思います。

実船では

実船では、排ガスエコノマイザの汚れは、蒸気発生量や排気温度の変化などから気付く場合があります。
すす吹きは、定期的な保守作業の一つですが、機関の燃焼状態や排ガスエコノマイザの状態と合わせて考えることが大切です。
また、すすが多く発生する場合は、単にすす吹きの回数を増やすだけでなく、主機の燃焼状態にも注意する必要があります。
清掃装置の取扱い方法や実施条件は船によって異なりますので、実船では必ず機器の取扱説明書や船内手順に従ってください。

おわりに

今回は、補助ボイラと排ガスエコノマイザのすす吹き・清掃装置について整理しました。
ポイントは、次の3つです。

  • すすが付着すると、熱回収効率が低下し、火災の危険も高まる
  • すす除去には、蒸気噴射式・空気噴射式・水噴射式・鋼球散布式がある
  • それぞれの方式は、すすを除去する原理を理解すると覚えやすい

これで、補助ボイラについては、構造、付属品、水管理、汽醸、燃焼、清掃まで、一通り整理できました。
次回は、機関1の次の分野として、プロペラの基礎と作動原理について整理していきます。


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