はじめに
以下は,三級海技士(航海)の筆記試験 「運用」の航海当直に関する過去問題です。
※ 出題は,平成28年2月から令和7年2月定期試験まで(10年分)の問題を調べたものです。(類)は,類似の問題を示します。解答は一緒です。平成=H,令和=Rに年/月を数字で示しております。
当直
〔問題1〕
運輸省告示に示されている甲板部における航海当直基準の一般原則によると,甲板部の航海当直を担当する職員は,どのようなことにより航行中における当直を維持しなければならないか。6つあげよ。
【出題:H29/07,H31/02,R02/07,R03/04,R05/04】
〔問題2〕
運輸省告示に示されている甲板部における航海当直基準によると,航行中に当直の引継ぎを受ける職員は,引き継ぎに際し,どのような事項を確認しなければならないか。6つあげよ。
【出題:H29/02,R01/07,R04/02,R05/02,R06/02】
〔問題3〕
運輸省告示に示されている甲板部における航海当直基準によると,航行中に当直を引き継ぐ職員は,どのような場合に引継ぎを行ってはならないか。2つあげよ。
【出題:R06/04】
Ⅱ 航行中の当直基準
1 甲板部における当直基準
(1) 一般原則
一 船長は、次に掲げる事項を十分に考慮して甲板部の当直体制を確保すること。
(一) 適切な見張りを確保すること。
(二) 船橋を無人の状態にしないこと。
(三) 航海当直中の者のうち少なくとも一人は、六級海技士(航海)又はこれより上級の海技免状を有する者であること。ただし、漁船については、この限りでない。
(四) 気象、海象、視界、昼間と夜間との区別及び航海当直を行う職員の任務に影響を及ぼす航路障害物の接近等の状況
(五) レーダー、衛星航法装置等の航行援助装置その他の航行の安全に関係のある装置の使用状況及び作動状況
(六) 自動操舵だ装置の備付けの有無
(七) 操船上及び構造上の特性
(八) 交通のふくそう状況等の特殊な航行状況及び分離通行方式等の通行方式が当直に及ぼす影響
二 甲板部の当直を行う職員は、次に掲げるところにより当直を維持すること。
(一) 当直中、予定する針路を確保するために、利用することができる航行援助装置等の使用により、船舶の位置、針路及び速力を確認すること。
(二) 船内の安全設備及び航海設備の設置場所、操作方法及び停止距離その他の操縦性能等について精通していること。
(三) 航海設備を効果的に使用するとともに、必要に応じて操舵だ装置、機関及び音響による信号を的確に使用すること。
(四) 船橋において当直を行い、常に適切な見張りが行われることを確保すること。
(五) 船長が船橋にいる場合にあつても、船長が当直を引き受けることを相互の間で明確に確認するまでは、当該当直に係る責任を有するものとして、当直を行うこと。
(六) 船舶に備えられている航行設備の作動状況を、可能な限り頻ひん繁に点検しなければならない。
(七) 航海の安全に関して疑義がある場合には、船長にその旨を連絡すること。さらに、必要に応じて、ためらわず緊急措置をとること。
(八) 船舶の航行に関して適切に記録すること。
(2) 見張りに関する原則
一 船長及び甲板部の当直を行う者は、次に掲げる事項を十分に考慮して見張りを維持すること。
(一) 見張りは、船舶の状況及び衝突、乗揚げその他の航海上の危険のおそれを十分に判断するために適切なものであること。
(二) 見張りの任務には、遭難船舶、遭難航空機、遭難者等の発見が含まれること。
(三) 見張りを行う者の任務と操舵だ員の任務とは区別されるものとし、操舵だ員は、操舵だ中にあつては、見張りを行う者とみなされてはならないこと。ただし、操舵だ位置において十分に周囲の見張りを行うことができる小型の船舶において、夜間における灯火等による視界の制限その他の見張りに対する障害のない場合は、この限りでない。
二 甲板部の当直を行う職員は、単独で見張りを行つてはならないこと。ただし、船舶の状況、気象、視界及び船舶交通のふくそうの状況、航海上の危険のおそれ、分離通行方式等について十分に考慮して、航海の安全に支障がないと考えられ、かつ船舶の状況が変化した場合に必要に応じ補助者を直ちに船橋へ呼び出すことができる場合は、この限りでない。
(3) 当直の引継ぎに関する原則
一 当直を引き継ぐ職員は、次に掲げるところにより当直を引き継ぐこと。
(一) 適切に当直を引き継ぐまで船橋を離れないこと。
(二) 引継ぎを受ける職員が明らかに当直を行うことができる状態ではないと考えられる場合には、当直を引き継がず、かつ、船長にその旨を連絡すること。
(三) 引継ぎを行う際に、危険を避けるための動作がとられている場合には、当該動作が終了するまで引き継ぎを行つてはならないこと。
二 当直の引継ぎを受ける職員は、次に掲げるところにより当直の引継ぎを受けること。
(一) 自己の視力が明暗の状況に十分順応するまでの間は、当直の引継ぎを受けてはならないこと。
(二) 引継ぎに際し、次の事項について確認すること。
イ 船舶の航行に関する船長の命令及び指示事項
ロ 予定する進路
ハ 船舶の位置、針路、速力及び喫水
ニ 気象、海象及びこれらが針路及び速力に及ぼす影響
ホ 航行設備及び安全設備の作動の状態
ヘ コンパスの誤差
ト 付近にある船舶の位置及び動向
チ 当直中遭遇することが予想される状況及び危険
(4) 船長は、船舶が防波堤等に囲われていないびよう地にびよう泊している場合には、船舶の安全を図るため必要と認める場合は、当直を維持すること。