ちいさなふなのるくんの大冒険(迷子編) 第5話(最終話)再会
ふなのるくんとお姉さんは、少し大きな船のそばに来ました。
「この船もコンテナを積んでいるんだね。」(ふなのるくん)
「そうね。この船は、私の乗っている船の約5倍の数のコンテナを運べるの。」(お姉さん)
「ふ~ん。じゃあ、重くて速く走れないね。」(ふなのるくん)
「そんなことないのよ。この船は、私の乗っている船の約3.5倍の力があるエンジンを持っているの。だから、私の乗っている船よりも速く走れるの。」(お姉さん)
「へ~。」(ふなのるくん)
「じゃあ、エンジンを見に行こうか。」(お姉さん)
「わ~い。」(ふなのるくん)
「こんにちは。」(お姉さん)
ふなのるくんとお姉さんは、エンジンルームに来ました。
「うわ~、ひろ~い。」(ふなのるくん)
「ひろいね~。とりあえず、制御室にいってみましょう。」(お姉さん)
ふなのるくんとお姉さんは、制御室に来ました。
「こんにちは。」(お姉さん)
「こんにちは。」(おじさん)
「すみません。近くで、この子に出会って、持ち主を探しているんです。見学させてもらっていいですか。」(お姉さん)
「おっ、君は、ファーストエンジニアのお守りじゃないか。」(おじさん)
「あっ、見たことのあるおじさんだ!」(ふなのるくん)
「そうだね。ファーストエンジニアの上司だからね。」(おじさん)
「機関長さんですか?」(お姉さん)
「はい。」(おじさん(機関長))
「ファーストエンジニアは、どちらですか。」(お姉さん)
「今、食料の買い出しを手伝っているので、出掛けていますが、もうすぐ帰ってくると思いますよ。」(機関長)
「わかりました。じゃあ、それまで見学させてもらっていいですか?」(お姉さん)
「いいですよ。では、説明しましょう。」(機関長)
「ありがとうございます。」(お姉さん)
「わ~い。」(ふなのるくん)
「じゃあ、まず、ここの説明をするね。ここは、機関制御室といって、機関室にある色んな機械を遠隔で操作したり、機械の状態がコンピューターで見れるようになっているんだ。」(機関長)
「へ~。」(ふなのるくん)
「ほら、ここでは、いろんな所の温度や圧力が見れたりするんだよ。」(機関長)
「それって、何かいいことあるの?」(ふなのるくん)
「(笑)そうだね。そう思うよね。この数字がどうなったら機械がどうなるのかが、わからなきゃただの数字だもんね。われわれ機関士は、この数字がどうなると機械に異常があるのか?また、異常が起こりそうなのかを判断して、そのことによって機械が壊れないように、そして、壊れたら修理して船を出来る限り止めないようにするために仕事をしているんだ。」(機関長)
「ふ~ん。こんなにいっぱい数字があると大変だね。」(ふなのるくん)
「そうだね。だからこのコンピューターに異常な数字を覚えさせておいて、異常な数字になったら警報を鳴らすようにしているんだ。」(機関長)
「ふ~ん。じゃあコンピューターさんが全部考えてくれるんだ。」(ふなのるくん)
「そうだね~。そうなると楽なんだけどね。コンピューターは、色んなセンサーからの情報を判断しているので、センサーが取り付けられていないものは、わからないんだよ。例えば、ちょとした油もれ、水もれ、ガスもれなどは、人の目や鼻や耳で判断する方が早いんだよ。」(機関長)
「ふ~ん。そうなんだ。」(ふなのるくん)
「いつも見回りをして、出来るだけ早く異常を発見することが故障を防ぐためには必要なんだ。そのためにおじさんたちは仕事をしているんだ。」
「ふ~ん。」(ふなのるくん)
「あとは、故障が起こらないように定期的に機械を分解して、掃除をしたり部品を取り替えたりしているんだ。」(機関長)
「そうなんだ。」(ふなのるくん)
そこへ、若いお兄さんが帰ってきました。
「ただいま帰りました、機関長。」(お兄さん)
「おつかれさん。ファーストエンジニア、君のお守りが先に帰ってきたよ。」(機関長)
「あっ、探していたんですよ。」(お兄さん)
「わ~い。お兄さんだ。」(ふなのるくん)
「えっ?ふなのるくん、しゃべれるの?」(お兄さん)
「うん。落っこちた時に動けるようになったんだ。このお姉さんに連れてきてもらったんだ。」(ふなのるくん)
「こんにちは。」(お姉さん)
「すみません。ありがとうございました。」(お兄さん)
「じゃあ、私は、帰ります。ふなのるくん。じゃあね。」(お姉さん)
「ありがとう、お姉さん。またね!!」(ふなのるくん)
こうしてふなのるくんの冒険は終わりました。
しかし、ふなのるくんは、色々な船が見たいと思うようになり、それからは、毎日外を眺めるようになりました。
おしまい
前回までのお話