はじめに
以下は,三級海技士(航海)の筆記試験 「運用」の気象海象観測並びにその観測上の通報手順及び記録方式に関する過去問題です。
※ 出題は,平成28年2月から令和7年2月定期試験まで(10年分)の問題を調べたものです。(類)は,類似の問題を示します。解答は一緒です。平成=H,令和=Rに年/月を数字で示しております。
気象海象観測並びにその観測上の通報手順及び記録方式
〔問題1〕
船上において露点温度を求めるには,どのようにすればよいか。
【出題:H29/04,H30/07,R03/02,R04/10】
船舶に設置されている乾球温度計と湿球温度計により,乾球温度,湿球温度をそれぞれ測定し,船舶気象観測指針巻末付録にある船舶気象常用表の「露点温度を求める表」により露点温度を算出する。
〔問題2〕
船舶において,気圧計により気圧を測定する場合,読み取った値にどのような改正(更正)をしなければならないか。
【出題:H29/07,R01/10,R03/04,R04/04,R06/02】
〔問題3〕
船舶において,気圧計により気圧を測定する場合,器差のほかに海面更正が必要である理由を述べよ。
【出題:H29/04,H31/02,R02/04,R04/02,R05/07,R07/02】
気圧計を読み取った後は,器差の補正,そして海面更正を行う必要がある。
気圧は高さによって変化(高くなるほど減少)するため,海面上に存在する気圧計で読み取った値は,海面上の気圧に補正する必要がある、これを海面更正という。
このため、海面気圧を求める式は,以下で示すことが出来る。
海面気圧=(気圧計の示度)±(示度に対する誤差補正値(器差))+(海面更正値)
〔問題4〕
航行中,船舶気象観測指針に基づき船舶気象通報を行うために雲を観測する場合の次の問いに答えよ。
(1) 雲量は,どのように表されるか。
【出題:H28/10,H30/02,H31/04,R03/07】
(2) 濃霧のため空が全く見えないときは,雲量をどのように決めるか。
【出題:H28/10,H30/02,H31/04,R03/07】
(3) 天空の一部が降水で見えないときは,雲量をどのように決めるか。
【出題:H28/10,H30/02,H31/04,R03/07】
(4) 夜間,雲がはっきり見えないときは,雲量をどのように決めるか。 【出題:R05/10,R07/02】
(5) 天気を「晴」とするときの雲量はどのくらいか。 【出題:R05/10,R07/02】
(6) 雲量が「10-」とは,どのような状態か。 【出題:R05/10,R07/02】
(1) 雲量は雲に覆われた部分の天空に対する見かけ上の割合で表し,5%未満の時を0,0.95%以上の時を10とし,0から10までの整数で表す。
(2) 霧を雲と同様にみなして雲量を10とする。ただし,霧を透かしたり,晴れた部分から天空が見える場合には,その程度に応じて雲量を決める。
(3) 降水を降らせているもとの雲が,その部分を覆っているとみなして雲量を決める。
降水のない場合の天気は雲量によって判断されるが,基準は以下の通りである。
快晴:全雲量が1以下
晴れ:全雲量が2~8
曇り:全雲量9以上
薄曇り:見かけ上の最多雲量が上層雲によって覆われている。
本曇り:見かけ上の最多雲量が上層雲以外の雲によって覆われている。
〔問題5〕
気象無線模写通報(ファクシミリ放送又はFAX)とは何か。また,この通報を利用するとどのような利点があるか。
【出題:H28/07,H29/10,R02/04,R05/02】
海域毎に定められた変調形式の電波を用いて送信され,それを専用の受信機により船上で受信することによって,地上解析図,海上波浪図あるいは高層天気図などの気象図を得ることが出来るものである。
その利点としては,航行予定海域の気象海象や台風の進路等を知ることができ,安全運航・経済運航に寄与することである。
〔問題6〕
気象無線模写通報(ファクシミリ放送又はFAX)で送られてくる地上天気図に記載されることがある次の(1)及び(2)の記号は,それぞれ何の表示で,どのような内容を表しているか。
(1)[W] (2) [GW]
【出題:R04/07,R06/07】
(1) 海上風警報:海上で風力7の状態に既になっているか,または24時間以内にその状態になることが予想される場合に発表される警報である。
(2) 海上強風警報:海上で風力8~9の状態に既になっているか,または24時間以内にその状態になることが予想される場合に発表される警報である。
