はじめに
以下は,ジャイロコンパスに関する三級海技士(航海)の筆記試験の過去問題です。
ジャイロコンパスの問題は,基本原理,構造,誤差に関する問題が中心となります。
※ 出題は,平成28年2月から令和7年2月定期試験まで(10年分)の問題を調べたものです。(類)は,類似の問題を示します。解答は一緒です。平成=H,令和=Rに年/月を数字で示しております。
原理に関する問題(回転惰性・プレセッション)
〔問題1〕
ジャイロコンパスの原理に関して,高速で回転しているジャイロスコープの特性に関する次の問いに答えよ。
(1) 回転惰性を説明せよ。また、その大きさ(角運動量)を表す式を記せ。
(2) プレセッションを説明せよ。また、その速さ(角速度)を表す式を記せ。
【出題:R01/07,R03/04,R05/02,R06/07】
〔問題2〕
ジャイロコンパスの原理に関する次の問いに答えよ。
(1) 右図はジャイロスコープの1例を示す。図の(ア)~(エ)のそれぞれの名称を記せ。
【出題H28/02,H28/10,H29/07,H30/02,H31/04,R02/10,R03/10,R04/04,R06/02,R06/10】
(2) (1)のジャイロスコープを高速度で回転(⤵印方向)させ,ジャイロ軸を ↑印方向に押すと,ジャイロ軸の方向はどのように変化するか。
【出題:H28/10,H30/02,R02/10,R04/04,R06/10】
(2)´(1)のジャイロスコープを高速度で回転(⤵印方向)させ,ジャイロ軸を ↓印方向に押すと,ジャイロ軸の方向はどのように変化するか。
【出題:H28/02,H29/07,H31/04,R03/10,R06/02】
(3) (2)の特性を何というか。
【出題:H28/02,H29/07,H30/02,H31/04,R03/10,R04/04,R06/02,R06/10】
構造等に関する問題
〔問題1〕
ジャイロコンパスのマスタコンパスを,「主動部」,「追従部」及び「固定部」の3主要部に大別した場合,各部の役目をそれぞれ述べよ。
【出題:H28/04(類),H29/02】
〔問題2〕
ジャイロコンパスに関する次の問いに答えよ。
(1) マスタコンパスの方位に関するステップ信号やシリアル信号は,レピータコンパスのほかに,どのような航海計器に伝達できるか。4つあげよ。
【出題:R01/10,R02/07,R04/02,R05/10】
誤差に関する問題
〔問題1〕
ジャイロコンパスに関する次の問いに答えよ。
(1) ジャイロコンパスには,速度誤差のほかどのような誤差があるか,3つあげよ。
【出題:H28/04,R02/07,R05/10】
(2) ジャイロコンパスには,変速度誤差のほかどのような誤差があるか,3つあげよ。
【出題:R04/02,R06/04】
〔問題2〕
ジャイロコンパスの速度誤差とはどのような誤差か。また,この誤差のほかどのような誤差があるか。2つあげよ。
【出題:R02/04,R04/07,R05/07】
〔問題3〕
ジャイロコンパスの速度誤差とはどのような誤差か。また,この誤差が大きくなるのはどのような場合か。
【出題:H30/7,R01/10,R03/02,R05/04,R07/02】NEW
ヒント
上図のように,x・y・z軸の周りを自由に回転できるようにしたコマをジャイロスコープと呼んでいる。
ジャイロスコープには,2つの特性がある。それが,回転惰性とプレセッションである。
【回転惰性】
ジャイロ軸を中心にジャイロを高速で回転させると,ジャイロ軸の方向を変えようとする力(トルク)を受けない限り,ジャイロ軸が絶対空間の一定方向を指し続ける性質のこと。
【プレセッション】
ジャイロがジャイロ軸を中心に高速回転しているとき,ジャイロ軸にトルクを加えると,与えられたトルクによって生じる回転ベクトルとジャイロ軸の回転ベクトルの合成ベクトルの方向へジャイロ軸は最短距離をとって向きを変える性質のこと。