はじめに

以下は,三級海技士(航海)の筆記試験 「法規」の海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律及び同法律施行規則に関する過去問題です。
※ 出題は,平成28年2月から令和7年2月定期試験まで(10年分)の問題を調べたものです。(類)は,類似の問題を示します。解答は一緒です。平成=H,令和=Rに年/月を数字で示しております。

海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律及び同法律施行規則

〔問題1〕

海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律で使用される次の用語を,それぞれ説明せよ。
(1) 排出 【出題:R02/10,R06/02】
(2) 特定油 【出題:R02/10,R06/02】

解答

(1) 排出:物を海洋に流し,又は落とすことをいう。(海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律第3条第7項)

(2) 特定油:蒸発しにくい油で国土交通省令で定めたもの。(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第38条第1項第1号)

※ 参考:海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則 第29条第1項第1号~第5号

① 原油
② 日本興業規格 K2205(重油)に適合する重油
③ 前号の重油以外の重油で日本工業規格K2254(石油製品-蒸留試験方法)の5により試験したときに摂氏340度以下の温度で体積の50パーセントを超える量が蒸留される重油以外の重油
④ 潤滑油
⑤ 前各号に掲げる油を含む油性混合物

〔問題2〕

海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第3条に定められている次の用語の意義を,それぞれ述べよ。
(1) 廃油 【出題:R03/07】
(1) 放出 【出題:H30/10,R03/07】
(2) 危険物 【出題:H30/10,R03/07】

解答

(1) 船舶内において生じた不要な油をいう。(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第3条第13項)
(2) 物を海域の大気中に排出し,又は流出させること。(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第3条第1項第7の3号)
(3) 原油,液化石油ガスその他の政令で定める引火性の物質をいう。(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律 第3条16号)

〔問題3〕特定油

その1

海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律で規定されている「特定油」とは,次のうちどれか。【出題:H29/04,R03/02,R05/10】
(1) 引火しやすい油で国土交通省令で定めるもの
(2) 引火しにくい油で国土交通省令で定めるもの
(3) 蒸発しやすい油で国土交通省令で定めるもの
(4) 蒸発しにくい油で国土交通省令で定めるもの

その2

海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律で規定されている「特定油」とは,次のうちどれか。【出題:H28/04,H29/10,R04/02,R07/02】
(1) 引火しにくい油で国土交通省令で定めるもの
(2) 燃焼しにくい油で国土交通省令で定めるもの
(3) 酸化しにくい油で国土交通省令で定めるもの
(4) 蒸発しにくい油で国土交通省令で定めるもの

解答

どちらの解答も(4),(海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律第38条第1号)

(油等の排出の通報等)
第三十八条 船舶から次に掲げる油その他の物質(以下この条において「油等」という。)の排出があつた場合には、当該船舶の船長は、国土交通省令で定めるところにより、当該排出があつた日時及び場所、排出の状況、海洋の汚染の防止のために講じた措置その他の事項を直ちに最寄りの海上保安機関に通報しなければならない。ただし、当該排出された油等が国土交通省令で定める範囲を超えて広がるおそれがないと認められるときは、この限りでない。
一 蒸発しにくい油で国土交通省令で定めるもの(以下「特定油」という。)の排出であつて、その濃度及び量が国土交通省令で定める基準以上であるもの
二 油の排出(前号に掲げる特定油の排出を除く。)であつて、その濃度及び量が国土交通省令で定める基準以上であるもの
三 有害液体物質等の排出であつて、その量が有害液体物質等の種類に応じ国土交通省令で定める量以上であるもの
四 ばら積み以外の方法で貨物として輸送される物質のうち海洋環境に特に悪影響を及ぼすものとして国土交通省令で定めるものの排出であつて、その量が当該物質の種類に応じ国土交通省令で定める量以上であるもの

〔問題4〕

海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第4条第1項では,「何人も,海域において,船舶から油を排出してはならない。」と規定しているが,同条同項におけるただし書規定により,どのような場合の油の排出については,この限りでないとされているか。要点を述べよ。
【出題:H30/02,R02/02,R04/04】

模範解答

① 船舶の安全を確保し,又は人命救助するための油の排出。
② 船舶の損傷その他のやむを得ない原因により油が排出された場合において,引き続く油の排出を防止するための可能な一切の措置をとったときの当該油の排出。

(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第4条第1項)

〔問題5〕

海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の規定により分離バラストタンクを設置したタンカーの貨物艙に,水バラストを積載してよいのは,悪天候下において船舶の安全を確保するためやむを得ない場合のほか,どのような場合か。同法律施行規則に定めるところを述べよ。
【出題:H29/07,H31/02,R03/04,R04/10】

模範解答

① ばら積みの固体貨物の輸送のための構造を有するタンカーが港湾荷役機械の下で固体貨物の荷役を行うためやむを得ない場合。
② 船舶が桁下高の小さい橋その他の障害物の下を安全に航行するためやむを得ない場合。
③ 港湾,運河等において船舶の安全を確保するため特別の喫水が要求される場合。
④ 船舶の復原性を確保するためやむを得ない場合。
(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第5条の3第2項,同法施行規則第8条の11)

〔問題6〕油濁防止管理者

船舶所有者は,国土交通省令で定める船舶ごとに,当該船舶に乗り組む船舶職員のうちから,国土交通省令で定める要件を備えた油濁防止管理者を選任しなければならないが:
(1) 国土交通省令で定める船舶とは,どのような船舶か。
(2) 国土交通省令で定める要件とは,何か。
(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律及び同法施行規則)
【出題:H28/07,R01/07,R03/10,R05/02,R06/10】

模範解答

(1) 総トン数200トン以上のタンカー(引かれ船等であるタンカー及び係船中のタンカーを除く。)
(2) 油濁防止管理者は,船舶職員及び小型船舶操縦者法の規定による海技免許を受けている者又は同法の規定により船舶職員になることについての承認を受けている者であって,タンカーに乗り組んで油の取扱いに関する作業に1年以上従事した経験を有するもの又は油濁防止管理者を養成する講習として国土交通大臣が定める講習を修了したもの。(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第6条,同法施行規則第9条,第10条)

〔問題7〕廃棄物の排出

海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第10条第1項では,「何人も,海域において,船舶から廃棄物を排出してはならない。」と規定しているが,同条同項におけるただし書では,どのような場合の廃棄物の排出について,この限りでないとされているか。要点を述べよ。
【出題:H28/02,H30/07,R02/07,R06/04】

模範解答

① 船舶の安全を確保し,又は人命を救助するための廃棄物の排出
② 船舶の損傷その他やむを得ない原因により廃棄物が排出された場合において,引き続く廃棄物の排出を防止するための可能な一切の措置をとったときの当該廃棄物の排出
(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第10条第1項)

〔問題8〕船舶発生廃棄物記録簿

海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律及び同法施行規則に関する次の問いに答えよ。
(1) 「船舶発生廃棄物記録簿」を船舶内に備え付けなければならない船舶は,どのような船舶か。
(2) 船長は,(1)の記録簿をいつから何年間船舶内に保存しなければならないか。
【出題:H29/02,R02/04,R05/07】

模範解答

(1) 総トン数400トン以上の船舶及び最大搭載人員15人以上の船舶(船底及びその下における鉱物資源の採掘に従事しているものを除く。)
(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第10条の4第1項,同法施行規則第12条の3の5)
(2) 最後の記載をした日から2年間船舶内に保管しなければならない。(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第10条の4第3項)

〔問題9〕海洋汚染等防止証書

海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律に定められている「海洋汚染等防止証書」について次の問いに答えよ。
(1) 有効期限は,何年か。
(2) (1)の期間が満了するまでの間において,国土交通大臣は,何ヶ月を超えない範囲で,その有効期間を延長することができるか。
【出題:H30/04,R01/10,R04/07】

模範解答

(1) 5年(海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律第17条の3)
(2) 3か月(海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律第19条の37第2項)

〔問題10〕油等の排出の通報

海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律及び同法律施行規則によると,油等の排出があった場合には所定事項を直ちに最寄りの海上保安機関に通報しなければならないと規定されているが,「当該排出きれた油等が国土交通省令で定める範囲を超えて広がるおそれがないと認められるときは,この限りでない。」とされている。下線部の範囲は次のうちどれか。
(1) 100平方メートル
(2) 1,000平方メートル
(3) 10,000平方メートル
(4) 100,000平方メートル
【出題:H28/10,H31/04,R05/04,R06/07】

解答

10,000平方メートル(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第38条,同法施行規則28条)