三級海技士(航海) 法規 筆記試験問題 港則法 特定港での航法(2)
以下は,三級海技士(航海)の筆記試験における,法規(港則法及び同法施行規則)に関する過去問題です。
※ 出題は,平成20年7月から平成30年2月定期試験までの問題を調べたものです。「平成/年」を数字で示しております。
問題
右図は,港内において,出航するA船(総トン数1000トンの動力船)と,P岸壁に向かうB船(総トン数200トンの動力船)とが×地点付近で衝突するおそれがある場合を示す。次の問いに答えよ。
(1) この港が,港則法の国土交通省令で定める船舶交通が著しく混雑する特定港である場合,A船は,自船の大きさを示すために,どのような信号旗を掲げなければならないか。また,A船は,航法上どのような処置をとらなければならないか。
(2) この港が(1)で示した特定港以外の港である場合,A船は,航法上どのような処置をとらなければならないか。
【出題:21/10,25/07,27/07,29/07】
ヒント
(1) 港則法 第18条 第3項,同施行規則8条の4
港則法 第十八条 汽艇等は、港内においては、汽艇等以外の船舶の進路を避けなければならない。
2 総トン数が五百トンを超えない範囲内において国土交通省令で定めるトン数以下である船舶であつて汽艇等以外のもの(以下「小型船」という。)は、国土交通省令で定める船舶交通が著しく混雑する特定港内においては、小型船及び汽艇等以外の船舶の進路を避けなければならない。
3 小型船及び汽艇等以外の船舶は、前項の特定港内を航行するときは、国土交通省令で定める様式の標識をマストに見やすいように掲げなければならない。
港則法施行規則 第八条の四 法第十八条第三項の国土交通省令で定める様式の標識は、国際信号旗数字旗1とする。
港則法 第18条,海上衝突予防法 第17条及び同法 第34条
海上衝突予防法
(保持船)
第十七条 この法律の規定により二隻の船舶のうち一隻の船舶が他の船舶の進路を避けなければならない場合は、当該他の船舶は、その針路及び速力を保たなければならない。
2 前項の規定により針路及び速力を保たなければならない船舶(以下この条において「保持船」という。)は、避航船がこの法律の規定に基づく適切な動作をとつていないことが明らかになつた場合は、同項の規定にかかわらず、直ちに避航船との衝突を避けるための動作をとることができる。この場合において、これらの船舶について第十五条第一項の規定の適用があるときは、保持船は、やむを得ない場合を除き、針路を左に転じてはならない。
3 保持船は、避航船と間近に接近したため、当該避航船の動作のみでは避航船との衝突を避けることができないと認める場合は、第一項の規定にかかわらず、衝突を避けるための最善の協力動作をとらなければならない。(操船信号及び警告信号)
第三十四条 航行中の動力船は、互いに他の船舶の視野の内にある場合において、この法律の規定によりその針路を転じ、又はその機関を後進にかけているときは、次の各号に定めるところにより、汽笛信号を行わなければならない。一 針路を右に転じている場合は、短音を一回鳴らすこと。
二 針路を左に転じている場合は、短音を二回鳴らすこと。
三 機関を後進にかけている場合は、短音を三回鳴らすこと。2 航行中の動力船は、前項の規定による汽笛信号を行わなければならない場合は、次の各号に定めるところにより、発光信号を行うことができる。この場合において、その動力船は、その発光信号を十秒以上の間隔で反復して行うことができる。
一 針路を右に転じている場合は、せん光を一回発すること。
二 針路を左に転じている場合は、せん光を二回発すること。
三 機関を後進にかけている場合は、せん光を三回発すること。3 前項のせん光の継続時間及びせん光とせん光との間隔は、約一秒とする。
4 船舶は、互いに他の船舶の視野の内にある場合において、第九条第四項の規定による汽笛信号を行うときは、次の各号に定めるところにより、これを行わなければならない。
一 他の船舶の右げん側を追い越そうとする場合は、長音二回に引き続く短音一回を鳴らすこと。
二 他の船舶の左げん側を追い越そうとする場合は、長音二回に引き続く短音二回を鳴らすこと。
三 他の船舶に追い越されることに同意した場合は、順次に長音一回、短音一回、長音一回及び短音一回を鳴らすこと。5 互いに他の船舶の視野の内にある船舶が互いに接近する場合において、船舶は、他の船舶の意図若しくは動作を理解することができないとき、又は他の船舶が衝突を避けるために十分な動作をとつていることについて疑いがあるときは、直ちに急速に短音を五回以上鳴らすことにより汽笛信号を行わなければならない。この場合において、その汽笛信号を行う船舶は、急速にせん光を五回以上発することにより発光信号を行うことができる。
6 船舶は、障害物があるため他の船舶を見ることができない狭い水道等のわん曲部その他の水域に接近する場合は、長音一回の汽笛信号を行わなければならない。この場合において、その船舶に接近する他の船舶は、そのわん曲部の付近又は障害物の背後においてその汽笛信号を聞いたときは、長音一回の汽笛信号を行うことによりこれに応答しなければならない。
7 船舶は、二以上の汽笛をそれぞれ百メートルを超える間隔を置いて設置している場合において、第一項又は前三項の規定による汽笛信号を行うときは、これらの汽笛を同時に鳴らしてはならない。
8 第二項及び第五項後段の規定による発光信号に使用する灯火は、五海里以上の視認距離を有する白色の全周灯とし、その技術上の基準及び位置については、国土交通省令で定める。
(2) 海上衝突予防法 第15条及び同法第16条
(横切り船)
第十五条 二隻の動力船が互いに進路を横切る場合において衝突するおそれがあるときは、他の動力船を右げん側に見る動力船は、当該他の動力船の進路を避けなければならない。この場合において、他の動力船の進路を避けなければならない動力船は、やむを得ない場合を除き、当該他の動力船の船首方向を横切つてはならない。2 前条第一項ただし書の規定は、前項に規定する二隻の動力船が互いに進路を横切る場合について準用する。
(避航船)
第十六条 この法律の規定により他の船舶の進路を避けなければならない船舶(次条において「避航船」という。)は、当該他の船舶から十分に遠ざかるため、できる限り早期に、かつ、大幅に動作をとらなければならない。