安全な速力(海上衝突予防法と港則法の違い)

問題

安全な速力について、海上衝突予防法と港則法の違いについて述べよ

解答例

海上衝突予防法は、「他の船舶との衝突を避けるための適切かつ有効な動作をとること又はその時の状況に適した距離で停止することができるよう」な速力。港則法は、「他の船舶に危険を及ぼさないような速力」で航行することを求めています。

解説

ここで、港則法における「他の船舶に危険を及ぼさない」とは、何でしょうか。

港内では、荷役を行っている船舶もいるでしょう。乗客の乗降を行っている船舶もいるでしょう。補油を行っている船舶もいるでしょう。このような船舶の近くを高速で航走したら、どうなるでしょう。

つまり、港則法は、衝突を予防すること以外に、他の船舶の作業等に危険を及ぼすような速力で航行しないよう(波を立てないよう)求めているのです。

関連法令

海上衝突予防法

(安全な速力)
第六条  船舶は、他の船舶との衝突を避けるための適切かつ有効な動作をとること又はその時の状況に適した距離で停止することができるように、常時安全な速力で航行しなければならない。この場合において、その速力の決定に当たつては、特に次に掲げる事項(レーダーを使用していない船舶にあつては、第一号から第六号までに掲げる事項)を考慮しなければならない。
一  視界の状態
二  船舶交通のふくそうの状況
三  自船の停止距離、旋回性能その他の操縦性能
四  夜間における陸岸の灯火、自船の灯火の反射等による灯光の存在
五  風、海面及び海潮流の状態並びに航路障害物に接近した状態
六  自船の喫水と水深との関係
七  自船のレーダーの特性、性能及び探知能力の限界
八  使用しているレーダーレンジによる制約
九  海象、気象その他の干渉原因がレーダーによる探知に与える影響
十  適切なレーダーレンジでレーダーを使用する場合においても小型船舶及び氷塊その他の漂流物を探知することができないときがあること。
十一  レーダーにより探知した船舶の数、位置及び動向
十二  自船と付近にある船舶その他の物件との距離をレーダーで測定することにより視界の状態を正確に把握することができる場合があること。

港則法

第十六条  船舶は、港内及び港の境界附近においては、他の船舶に危険を及ぼさないような速力で航行しなければならない。