海上衝突予防法 第10条(分離通航方式)

おはようございます。

本日は、海上衝突海上衝突予防法シリーズ第10回目です。

今回は、第10条、「分離通航方式」です。


(分離通航方式)
第十条 この条の規定は、千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約(以下「条約」という。)に添付されている千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則(以下「国際規則」という。)第一条(d)の規定により国際海事機関が採択した分離通航方式について適用する。
2 船舶は、分離通航帯を航行する場合は、この法律の他の規定に定めるもののほか、次の各号に定めるところにより、航行しなければならない。
一 通航路をこれについて定められた船舶の進行方向に航行すること。
二 分離線又は分離帯からできる限り離れて航行すること。
三 できる限り通航路の出入口から出入すること。ただし、通航路の側方から出入する場合は、その通航路について定められた船舶の進行方向に対しできる限り小さい角度で出入しなければならない。
3 船舶は、通航路を横断してはならない。ただし、やむを得ない場合において、その通航路について定められた船舶の進行方向に対しできる限り直角に近い角度で横断するときは、この限りでない。
4 船舶(動力船であつて長さ二十メートル未満のもの及び帆船を除く。)は、沿岸通航帯に隣接した分離通航帯の通航路を安全に通過することができる場合は、やむを得ない場合を除き、沿岸通航帯を航行してはならない。
5 通航路を横断し、又は通航路に出入する船舶以外の船舶は、次に掲げる場合その他やむを得ない場合を除き、分離帯に入り、又は分離線を横切つてはならない。
一 切迫した危険を避ける場合
二 分離帯において漁ろうに従事する場合
6 航行中の動力船は、通航路において帆船の進路を避けなければならない。ただし、この規定は、帆船が通航路をこれに沿つて航行している動力船の安全な通航を妨げることができることとするものではない。
7 航行中の船舶は、通航路において漁ろうに従事している船舶の進路を避けなければならない。ただし、この規定は、漁ろうに従事している船舶が通航路をこれに沿つて航行している他の船舶の通航を妨げることができることとするものではない。
8 長さ二十メートル未満の動力船は、通航路をこれに沿つて航行している他の動力船の安全な通航を妨げてはならない。
9 前三項の規定は、第四条の規定にかかわらず、互いに他の船舶の視野の内にある船舶について適用する。
10 船舶は、分離通航帯の出入口付近においては、十分に注意して航行しなければならない。
11 船舶は、分離通航帯及びその出入口付近においては、やむを得ない場合を除き、びよう泊をしてはならない。
12 分離通航帯を航行しない船舶は、できる限り分離通航帯から離れて航行しなければならない。
13 第二項、第三項、第五項及び第十一項の規定は、操縦性能制限船であつて、分離通航帯において船舶の航行の安全を確保するための作業又は海底電線の敷設、保守若しくは引揚げのための作業に従事しているものについては、当該作業を行うために必要な限度において適用しない。
14 海上保安庁長官は、第一項に規定する分離通航方式の名称、その分離通航方式について定められた分離通航帯、通航路、分離線、分離帯及び沿岸通航帯の位置その他分離通航方式に関し必要な事項を告示しなければならない。


さてさて、沢山、項目がありますね。

第1項は、分離通行方式の由来ですかね。

第2項は、分離通行帯の基本的な航法ですね。

第3項は、分離通行帯の通行路は、原則横切りを禁ずるということと、やむを得ず、横切る場合は、通行路に対して直角で横切ることが規定されています。

第4項は、沿岸通行帯の取り扱いについて記載されています。沿岸通行帯は、その地域(沿岸)を利用する船舶のためのものであり、単に通り過ぎるための船舶は、分離通行帯を通りなさいというものです。ただし、分離通行帯の海面が荒れており、通行帯を航行する時が危険な場合や、水先人を下船させるためなどの場合には、航行が許されます。

第5項では、分離帯及び分離線という語句が出てきますが、これは分離通行帯の反対交通を分けている海域(分離帯)や線(分離船)を表します。第5項は、交通路を反対方向に航行することになるため、分離帯や分離線の横切りを禁止しています。

通行路内は一方通行で、船舶交通がふくそうする海域なので、狭い水道等の場合と同様に、帆船(第6項のただし書),漁ろう船(第7項のただし書),長さ二十メートル未満の動力船(第8項)は、通航路をこれに沿つて航行している他の動力船の安全な通航を妨げてはなりません。

第9項に示してあるのは、第四条が第五条から第十条があらゆる視界に適用するとしてるのですが、第6項,第7項,第8項は、「互いに他の船舶の視野の内にある船舶」について適用するとしています。

第10項は、通行路の出入り口付近が船舶の交通が集中又は発散することになるので、多数の船舶との見合い関係を生じる恐れがあることから、十分に注意することを要求している。

第11項は、第10項と同様の理由から、分離通航帯及びその出入口付近での錨泊を禁止しています。

第13項は、分離通航帯において船舶の航行の安全を確保するための作業又は海底電線の敷設、保守若しくは引揚げのための作業に従事しているものが、除外される項目について述べています。

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