本日の写真は、造水装置。
まあ、陸上では、災害やトラブルでもない限り、水に困ることはないと思いますが、海上では、海水はたくさんあるものの、真水は貴重な存在です。
そこで、海水から真水を造りましょうというのが、今回紹介する造水装置です。
では、どうやって真水を造るのか?ということになりますが、簡単に言えば、海水を温めて蒸発させ、その蒸気を冷やして回収するというものです。
なんだ、単なる湯沸かし器か、と思われる方もいらっしゃるとは思いますが、その湯沸かしを主機関の冷却水によって行っているのが、写真の装置です。
古い方だと、ウルトラマンセブンに出てた怪獣(キングジョー)に似てるなんて思った方もいらっしゃるかも知れませんが、足はついていません(えっ、あんまり似てない?)。
さて、この装置の場合、約80℃の主機冷却清水を熱源として使用するのですが、80℃ではお湯が沸かせないじゃないか!と思いませんか?
それを可能にするのが、真空状態です。
皆さんは、高い山の上では、お湯が100℃ではなく、それよりも低い温度で沸騰するという話を聞いたことはありませんか?それは、高い山の上では、気圧が低く、それに伴って、沸点も低くなるのです。これと同じ原理を応用したのが、今回ご紹介する装置です。
この装置の内部(真中ののぞき窓の内側)は、真空状態(-0.9気圧ほど)に保たれています。
これによって、内部に送り込まれた海水は、40数度という低い温度で蒸発します。
つまり、80℃の熱源でも十分に蒸発させることができるのです(以下の写真は沸騰しているところ)。
そして、上に設けられた冷却器で水に戻し、それをポンプを使用して吸出し、清水タンクに送っています。
今回ご紹介した写真の装置では、1日約10トンの水を造ることができます。
ちなみに、造られた水の塩分濃度は、10ppm(ppmは100万分の1を示す単位)以上にならないよう、警報装置を設けており、塩分濃度がそれより高くなるとポンプで吸い出した水を再び造水装置内に戻すようになっています。
上掲の写真は、0.7ppmを示しており、適性に水が造られているといえます。
そうそう、造水装置で造られた水は、純度が高く、飲料には適さないため、トイレや洗濯の水といった雑用に使用されます。