コンテナ船とイージス艦の衝突事故に関連して

おはようございます。

今月17日、米イージス艦フィッツジェラルドとフィリピン船籍のコンテナ船の衝突が衝突しました。色んな、報道がされていますが、イージス艦の航跡が確定していないので、事故原因については、なんとも言えませんね。

今、この事故に関して確実に言えることは、お亡くなりになった方へのお悔やみの言葉しかありません。少なくとも、この事故に関し、彼らは、全く悪くないのに、事故の犠牲になりました。あたらめて、ご冥福を祈ります。

さて、今回の報道でよく出てくる単語で、AIS(船舶自動識別装置)といのがありますね~。

これは、船舶設備規程に定められている装備ですが、船舶設備規程には、


(船舶自動識別装置)
第百四十六条の二十九  総トン数三〇〇トン未満の旅客船及び総トン数三〇〇トン以上の船舶であつて国際航海に従事するもの並びに総トン数五〇〇トン以上の船舶であつて国際航海に従事しないものには、機能等について告示で定める要件に適合する船舶自動識別装置を備えなければならない。ただし、管海官庁が当該船舶の航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合には、この限りでない。


とされております。

今回、日本船籍のコンテナ船と自衛艦だとして、上記の法律が、適用されるのはどちらでしょう?

もちろん、コンテナ船は、適用されますのでAISを搭載しております。自衛隊は、そもそも、船舶設備規程や船舶安全法の適用を受ける船ではないので、設置の義務はありません。
ただ、他船の情報を得るという意味で、設置していると思います。

もう一つ注目すべきは、航海情報記録装置(VDR)。これは、飛行機で言うところのフライトレコーダー。船舶設備規程には、以下のように定められています。


(航海情報記録装置)
第百四十六条の三十  総トン数150トン以上3,000トン未満の旅客船及び総トン数3,000トン以上の船舶(船舶安全法施行規則第一条第二項第一号 及び第二号 の船舶(同項第二号 の船舶にあつては自ら漁ろうに従事するものに限る。)を除く。)であつて、国際航海に従事するものには、機能等について告示で定める要件に適合する航海情報記録装置を備えなければならない。


ということで、今回事故にあったコンテナ船もVDRを搭載しているはずです。

じゃあ、どんな情報を?ということですが、レーダーの情報、オートパイロットの情報、VHFの情報など、事故の際の船舶の状況や直前に取った操舵などがわかるようになっております。

ということで、VDRの記録が残っていれば、コンテナ船がどのような動きをしていたか、明らかとなるはずです。

と同時に、レーダーの画像が残っているはずですので、イージス艦の相対的な位置は、明らかとなるでしょう。後は、それを基に航跡をプロットできると思います。

あと、少し、問題になりそうなのが、コンテナ船は、イージス艦を認識していたのか?ということ。

イージス艦ともなれば、レーダーに映りにくくなっているのでは?と思われますし(イージス艦のレーダー画像を見たことがないので、私にはよくわかりませんが)、民間の船舶と異なり、しっかりと灯火管制がなされていたはずでしょうし、船が多く通る海域ですので、イージス艦が航海灯を点灯していたとしても分かりにくかったのではと考えてしまいます。

何れにせよ、コンテナ船の方は、運輸安全員会から事故調査員が派遣されたとのことなので、徐々に真相が明らかになってくるのではないでしょうか。

ただし、一般人が、この調査結果を見れるようになるのは、1年ぐらいかかるかも・・・

そうそう、もう一つ、よく出てきたバルバスバウの画像を見つけました。画像は、こちら(外部リンク)。