海上衝突予防法 第3条(定義)

先週に引き続き、今週は、海上衝突予防法 第3条です。

第3条には、この法律で用いられる用語の定義が定められております。

全てを細かく説明はしませんが、まず、第1項~第8項までが、船舶の種類。

第9項が船の状態。

第10項が船の長さの定義。

第11項~第12項が、状況(シチュエーション)を定義しております。

さて、ここで注目したいのが、第11項と第12項。

海上衝突予防法の目的(第1条)の説明で述べましたが、海上衝突予防法には、船舶が、① 守るべき航法,② 表示すべき灯火・形象物,③ 行うべき信号、が示してあります。

そして、「① 守るべき航法」で、大切になるのが、その時の状況。

海上衝突予防法は、第二章に航法を示しておりますが、次の三つの状況で航法を分けております

第一節 あらゆる視界の状態における船舶の航法

第二節 互いに他の船舶の視野の内にある船舶の航法

第三節 視界制限状態における船舶の航法

ここで、押さえておかなければならないのが、第三条第11項と第12項。

第11項には、「「互いに他の船舶の視野の内にある」とは、船舶が互いに視覚によつて他の船舶を見ることができる状態にあることをいう。」と定義されており、
第12項には、「「視界制限状態」とは、霧、もや、降雪、暴風雨、砂あらしその他これらに類する事由により視界が制限されている状態をいう。」と定義されております。

つまり、航法は、視界の状況により、3つの場合分けがされており、全ての状況に適用されるのが、「第一節 あらゆる視界の状態における船舶の航法」であり、「互いに他の船舶の視野の内にある」状況に適用されるのが、「第二節 互いに他の船舶の視野の内にある船舶の航法」であり、「視界制限状態」に適用されるのが、「第三節 視界制限状態における船舶の航法」です。

ということで、以下に原文を掲載しておきますので、読んでみてください。

特に、「視界制限状態」については、試験によく出てくるキーワードなので、試験勉強をしている方は要チェックです。

つづく


(定義)
第三条  この法律において「船舶」とは、水上輸送の用に供する船舟類(水上航空機を含む。)をいう。
2  この法律において「動力船」とは、機関を用いて推進する船舶(機関のほか帆を用いて推進する船舶であつて帆のみを用いて推進しているものを除く。)をいう。
3  この法律において「帆船」とは、帆のみを用いて推進する船舶及び機関のほか帆を用いて推進する船舶であつて帆のみを用いて推進しているものをいう。
4  この法律において「漁ろうに従事している船舶」とは、船舶の操縦性能を制限する網、なわその他の漁具を用いて漁ろうをしている船舶(操縦性能制限船に該当するものを除く。)をいう。
5  この法律において「水上航空機」とは、水上を移動することができる航空機をいい、「水上航空機等」とは、水上航空機及び特殊高速船(第二十三条第三項に規定する特殊高速船をいう。)をいう。
6  この法律において「運転不自由船」とは、船舶の操縦性能を制限する故障その他の異常な事態が生じているため他の船舶の進路を避けることができない船舶をいう。
7  この法律において「操縦性能制限船」とは、次に掲げる作業その他の船舶の操縦性能を制限する作業に従事しているため他の船舶の進路を避けることができない船舶をいう。
一  航路標識、海底電線又は海底パイプラインの敷設、保守又は引揚げ
二  しゆんせつ、測量その他の水中作業
三  航行中における補給、人の移乗又は貨物の積替え
四  航空機の発着作業
五  掃海作業
六  船舶及びその船舶に引かれている船舶その他の物件がその進路から離れることを著しく制限するえい航作業
8  この法律において「喫水制限船」とは、船舶の喫水と水深との関係によりその進路から離れることが著しく制限されている動力船をいう。
9  この法律において「航行中」とは、船舶がびよう泊(係船浮標又はびよう泊をしている船舶にする係留を含む。以下同じ。)をし、陸岸に係留をし、又は乗り揚げていない状態をいう。
10  この法律において「長さ」とは、船舶の全長をいう。
11  この法律において「互いに他の船舶の視野の内にある」とは、船舶が互いに視覚によつて他の船舶を見ることができる状態にあることをいう。
12  この法律において「視界制限状態」とは、霧、もや、降雪、暴風雨、砂あらしその他これらに類する事由により視界が制限されている状態をいう。