おはようございます。
本日は、今年最後の更新ということで、試験の話ではなく、仕事に関して、教える側と教わる側に関して、ちょっと独り言を。
今年も海技塾の記事を読んでいただき、ありがとうござました。
来年も、よろしくお願いいたします。
最初に乗った船で機関長に言われたひと言
よくベテランの船員が頭ごなしに若い船員へ「こうしろ」「あーしろ」と作業を指示しているのを見かけませんか?
それによってその作業(だけ)を覚えるかも知れませんが、それだけでは、それ以上成長しないのでは?と私は思います。
もちろん、本人が積極的にその作業内容を理解しようとし、しっかりと答えを導き出せる人ならばいいのですが、大抵の若者は、頭ごなしに言われると委縮して、ただ言われた通りに作業をこなそうとしてしまいます。
それって仕事をしていると言えるのでしょうか?
ただ単に作業を記憶しただけだと、作業を行っている間に、手順を間違えたり、必要な作業を飛ばしたり、それによってミスを犯すことがあります。
それは作業の意味を理解しておらず、何のためにこの手順を行い、必要な作業を飛ばすとどのような結果を招くかが分かっていないからではないでしょうか。
私が二十歳で四等機関士として初めて外航船に船に乗り込んでいた時、機関長が計算ミスをした私に言いました。
「フォースエンジャー(四等機関士のこと)、学生は、99点でえーかも知れんけど、社会人は100点じゃないと数字が間違っとったら仕事しとらんのんと一緒じゃー(広島弁)。計算するのにこの数字が持っとる意味を理解しとらんけー間違うんよー。常に疑問を持って仕事をせー。他の仕事も一緒よー」
つまり「常に疑問を持って仕事をしなさい」とその機関長は言いたかったのだと思います。
それから二十数年が経ち、「常に疑問」が私の座右の銘になっております。
最近、私も歳をとり、若い船員に指導する立場になりましたが、指導の際、私が心掛けているのは、本人に考えさせることです。
教えるのがうまい(ほぼお世辞)と偶に言われますが、私は、若い人にほとんど教えたことがありません。
その代わり、ちょっとしたヒントを出しながら、いつも質問しています。
全て教えるのではなく、考えさせることによって、本人が答えを見つけた時、次の学びに繋がるのだと私は思っております。
そのことによって、作業を覚えるのでなく、仕事が出来るようになる、つまり、臨機応変に対応できる人財になるのではないか?と。