三級海技士(機関)機関三 筆記問題 燃料(4)
以下は,三級海技士(機関)筆記試験,機関三に関する過去問題です。
※ 出題時期は,平成22年7月から平成29年4月定期試験までの問題を調べたものです。
問題
ディーゼル機関用燃料に関する次の問いに答えよ。
(1) 重油に含まれる残留炭素分とは,どのようなものか。
(2) セタン価は,何を表す尺度か。
(3) セタン価が高過ぎても,低過ぎてもよくないのは,なぜか。
【出題:25/04,29/04】
コメント
(1) 燃料油を試験器で蒸発及び熱分解させた後に生じる炭化した残留物をいう。これは燃料油内に含まれる高分子量で燃焼しにくい炭化水素分を示すものであり,この量を知ることによって燃焼残渣がどの程度発生するかを予測することができる。残留炭素分が多いと,燃料噴射弁のノズル口にカーボンが堆積し噴射状態が悪くなり出力低下などを起こすこととなる。
(2) ガソリン機関では、ノッキングの起こり難さの指標としてオクタン価という値が用いられる。この値が高いほど,ノッキングが起こり難く,緩やかな燃焼となる。これに対しセタン価は,燃料油の着火性(発火性)を示す尺度であり,この値が高いほど着火性の良い燃料といえる。
(3) セタン価が高過ぎると
① 着火性が良すぎることとなるため,シリンダ内に噴射された燃料が空気と十分に混合する前に着火する(過早着火)こととなり,燃焼効率が低下し、出力が減少する。
② 過早着火によって,圧縮温度が十分でないときに噴射を始めるため,着火おくれが大となり、着火と同時に多量の油が一時に爆発し、ディーゼルノックを生ずる。そのため,過大な圧力変動が発生し,振動やエンジン部品破損の原因となる。
セタン価が低過ぎると点火遅れが大きくなるため
① 始動性が悪くなる。
② 最高圧が高くなる。
③ 不完全燃焼を起こしやすくなる。
などの不具合が生じる。