海上衝突予防法 第5条(見張り)

おはようございます。

少し時間が空きましたが、海上衝突海上衝突予防法シリーズ第5回目です。

前回までで、第4条まで簡単に説明しました。

次は、第5条、「見張り」です。


(見張り)
第五条  船舶は、周囲の状況及び他の船舶との衝突のおそれについて十分に判断することができるように、視覚、聴覚及びその時の状況に適した他のすべての手段により、常時適切な見張りをしなければならない。


ここでのポイントの一つは、「すべての手段」です。

そして、そもそも見張りの目的は、何か?ということです。

そう、「衝突のおそれについて十分に判断すること」です。

この目的を達成するために、使用できる物であり、かつ「その時の状況に適した」「すべて」の手段によって見張りを行うことということです。

さらに、ここには「常時」と規定しております。

常時とは?

ここには、航海中常時とは、書いておりません。

錨泊中は、もちろんのこと、停泊中も含まれるのです。

最近、「夜間、商船は、船橋を無人にして航行いる」という旨の発言が話題になっておりますが、レーダーにガードリング(設定した範囲に入ってきたら物標の自動補足を行う)等の設定を行って、衝突のおそれのアラームが鳴ったら船橋に行くという行為は、この第5条に違反していると言えます。

これが、商船で、通常行われていると言うことは、商船は、この第5条に違反しているのが通常であると言っているのと同じことになります。

商船に乗っている航海士にとって、この発言は、看過できないことでしょう。

ちなみに、私が20代で航海当直士官の仕事をしていた頃、強いストレスを感じておりました。

よく、部屋で就寝中に寝ぼけてベットのカーテンを開け、レーダーを確認しなきゃと立ち上がり、自室だったというのが何度もあります。そう、寝ぼけて、チャートルームに入っていると勘違いしていたのです。

今は、その回数は、少なくなりましたが・・・

20代の頃、私は、全長約250mのコンテナ船の航海当直士官をしていたので、結構ストレスを感じていました。

東南アジアでは、時々、木造のレーダーに映り難い漁船がいましたので。

こっちは、数万トン、あっちは、数トンもないという差で、衝突した場合、こっちは気づかず人を殺す可能性さえあります。それが、私にとって、航海当直における一番のストレスでした。

おかげで、レーダーの調整は、うまくなりましたが(笑)

おっと、話がそれましたが、航海士の皆さん、「衝突のおそれ」を判断するために、「常時」「適切な見張り」を可能にする、船上で活用することのできる、「すべての手段」を使いこなしましょう!!