三級海技士(機関)機関一 筆記問題 ディーゼル機関(42)吸気弁・排気弁
以下は,三級海技士(機関)筆記試験,機関一に関する過去問題です。
※ 出題時期は,平成22年7月から平成29年4月定期試験までの問題を調べたものです。
問題
四サイクルディーゼル機関の吸気弁及び排気弁に関する次の問いに答えよ。
(1) 弁座の荒れが軽微な場合,弁のすり合わせは,どのような要領で行うか。【出題:25/07】
(2) 高速機関において,1つのシリンダに吸気弁及び排気弁を,それぞれ2個ずつ設けると,1個ずつの場合に比べて,どのような利点があるか。 【出題:23/02,26/10】
(3) 弁棒頭部は,ロッカーアーム(揺れ腕)による衝撃や摩耗に耐えるために,どのような対策が施されているか。 【出題:23/02,26/10】
(4) 中形機関において,吸気弁は直接シリンダヘッド(シリンダカバ)に取り付け,排気弁は弁箱(弁かご)を設けてシリンダヘッドに取り付ける方式を採用する場合が多いが,その理由は,何か。(吸気弁及び排気弁について,それぞれ述べよ。)【出題:23/10(類似:最後の()書きなし),26/04】
(5) ポペット弁(きのこ弁)の弁フェース(弁の当たり面)に用いられるステライトは,どのような点が優れているか。 【出題:26/04】
解答
(1) ① カーボランダムを弁座に薄く塗布し,すり合わせ工具を使用して,弁と弁座を軽く叩きながら順次弁を回して位置を移動させ,当たりが完全にでるまですり合わせる。
② カーボランダムですり合わせた後,エメリーペースト又は種油で溶いた酸化クロムを塗布し,当たりがつくまですり合わせる。
③ 最後に,弁座に種油を塗り,前と同じ要領で当たりが均一にでるまで油ずりを行う。
④ すり合わせ中においては弁に油気をなくさないこと。
⑤ すり合わせのとき,弁棒を軽く叩きながら回転させ,弁座に密着した状態で回転させない。
⑥ カーボランダムですり合わせ後,油ずりを十分行いカーボランダムを完全に取り除く。
⑦ すり合わせ中,弁棒部にカーボランダムが付着しないように気をつける。
(2) 四サイクル高速ディーゼル機関で,1シリンダに吸気弁及び排気弁を2個ずつ設けた場合,1個ずつ設けた場合と比べ,それぞれの面積を大きく取ることができ,ガス交換が有利となる。
(3) ① 焼入れ加工またはステライト溶着などにより硬化させる。
② 硬金属片や弁キャップを装着する。
(4) ① 運転中,シリンダヘッドの底部は,上面よりも水平方向に多く膨張するから弁座部分と弁案内部の中心が狂ってくる。そこで弁箱(弁かご)を設け冷却し熱膨張による障害を防止するわけであるが,弁箱を設けると弁面積を大きくとれない。そこでシリンダ径の小さい中形機関では,熱負荷の少ない吸気弁は直接シリンダヘッドに取り付ける。
② 排気弁は,吸気弁よりも損傷しやしく点検・手入れ間隔が短い。そのため排気弁は,点検・手入れをしやすくするため弁箱式とする。
(5) 硬さ,特に高温における硬さが高く,耐食性及び耐摩耗性が優れている。
参考文献
機関科口述試験研究会編:機関科三級 口述標準テスト,海文堂,1999年
東京海洋大学海技試験研究会編:海技士3E 徹底攻略問題集,海文堂,2011年
機関技術研究会編:最近3か年シリーズ 三級海技士(機関)800題 平成28年度版,成山堂書店,2016年
機関技術研究会編:最近3か年シリーズ 三級海技士(機関)800題 平成30年度版,成山堂書店,2018年